さて、唐突ですが写真を撮るときのルールを以下のように設定してみます。*1
なにかしら印象的(効果的)なシルエットをフレームに収める。シルエットは何らかの形で写真に寄与している。主題でも点景でも何でも良い。
- 被写体と撮影者は完全に無関係であること。知人、友人、恋人、家族、モデル、またこれらの人々のペットを被写体にしない。現場で声かけして被写体になってもらわない。当然、ポージング指示やディレクション等しない(撮影者と無関係のはずなので出来ないはず)。自分や前述の人達やペットによって意図的、または必然的に、または偶然に配置された物は撮らない。
- 端的に言えば、自分と完全に無関係な被写体を観察し、スナップ撮影に徹する。
勝手に制定した上記ルールに則って撮った写真に #silhouettehunting というタグをつけて Twitter や Instagram へ投稿しています。これがなかなか楽しい。被写体は撮影者と全く関係がありませんから、偶然を狙うしかありません。ただし、時期や時間や場所や天気を選ぶことによって偶然が起こる確率を高めることはできると思います。
最初にSilhouette Huntingを意識したのは2013年にとったこの写真からだと記憶しています。
濡れた砂浜の鏡面反射を活かして富士山と夕空を取ろうとしているところへ、私のことなどまるで気にせず走り回る姉妹。2mくらい左に移動してタイミング合わせてシャッターを切る。当時Leica M9を使っていた *2 のでノーファインダーで撮ってます。自分でもよく撮れたなと思いますw
被写体様がモデルだったとして私にはこんなポージングのディレクションは出来ないと思います。偶然故のアガリ。自分の想像の少し斜め上のアガリ。これは面白いな、と。
多分、画的にはこちらの方がまとまってますかね。
夕陽を背景に人物のシルエットを撮るなんて、昔から世界中で使い古されてるありきたりの手法だと思います。そこに風景写真やストリートスナップの如く、撮影者と被写体の関連性を積極的に断つ、という要素を混ぜたことになりますね。文字にするとなんだか大げさな気もしますが。
一言で表現するならば狩りです。
「偶然」が発生する確率を高めるように行動し、現場での存在感を消し、予期しながらも偶然のフレーミングを掴む。
季節と天気を読んで光の良さそうなところへ出向く。時間による太陽の位置や光の向きを考えて移動する。常に5秒先10秒先30秒先を読んでウロウロする。1分のチャンスのために1時間動き、半年に一回の好天に会うために毎週の様にお気に入りの場所に通う。逃したチャンスに執着しない。
次狙え次。
のん気さと瞬発力が同時に求められます。ボケっとしていた次の瞬間に立ち上がって歩き出したりするので、友人との同行はオススメできませんw
ゲームはルールがあるから成立するし楽しめると思うのです。ドッジボールとか缶蹴りとかトランプとか。で、自分でルール作って楽しんでも良いと思うのです。自分がやってて楽しいことをルール化して、その中で可能性を探ってみる。
シルエット・ハンティングでやってることは狩りに類似していて、創作とは対極。モデルさんや友人知人家族を被写体にして素晴らしい写真を撮る、それは創作です。当然アリですし私もよくやってましたしそれはそれでとても楽しいです。それとは全く違うルールを制定してその枠のなかで模索するのもまた一興だと思っています。創作とは全く違う勘所、頭と身体の使い方、意識の置き方、アンテナの張り方。
この土俵では Creativity よりも Sensitivity や Perceptiveness が重要です。
気が向いたら一度やってみて下さい。
自分の存在感を消し、周囲の人々の気持ちを読み、動き、撮る。
楽しいですよ。
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