技術は日進月歩。
"135mmのススメ" 前回までのおさらい。
135mmの画角が大好きなワタクシ。
今回は SIGMA 135mm F1.8 Art です。
(Flickrにて画像クリックして拡大鑑賞を推奨します)
実は一度EFマウント+MC-11で使ってたんですがピント精度がイマイチでして。
特に逆光みたいにシビアな条件になると中々苦しい。
Flickrで拡大してよく観るとわかるのですが、上のワンコの写真はピン外してます。
ワンコの手前50cmくらいのところにピン面来てます。
で、今回はEマウント版。いやもうまるで別物です。
AFほぼ問題なく非常に高い確率でガチピン来ます。
ド逆光でチョイチョイ外すんですが
それはもう純正であっても苦しいであろう状況ですから仕方ないところです。
動体は撮らないので、そちらについては他の方を参照して下さい。
次の2枚はEFマウント版のころの貴重なガチピンショットですw
足元の水しぶきのシズル感に注目。
水滴の一つ一つを確実に結像してきます。
この距離でこの実存感、サムヤン135含め過去に無い感じ。
凄い。つか写り過ぎ。
描写は、超精細で線の細いピン面は前回紹介したBatis 1.8/85に似ています。
アウトフォーカスはウェットだけどBatisよりはあっさり目。
Art105/1.4やArt85/1.4より小ぶりなんですよ。
想像よりは小さ…くは無いですw 105や85が巨大なだけですかね。
ちなみに
APO SONNARより細く解像し後ボケも自然なSAMYANG135
ピン面の線の細さも相当なものでしたけど
わずかながら135Artの方がさらに繊細で全体的に柔らかめ。
これだけ精細になると本当に200/2.8が不要になりそうです。
135/1.8で撮ったものを切り出せば良いのですから。
一昔前の線の細いレンズってマイクロコントラストが弱いものが多いですが
流石に21世紀も20年近く経とうとしているArt135ではそうでもなく割と普通。
軸上色収差 (ピント面の前後に出てくる緑とマゼンダの憎き色被り) もほぼ無く。
中望遠ではもはや当たり前になりつつありますね。
変な色を勝手につけられるとそれを避けるために撮影する状況が限定されるので
無い方が明らかに良いです。
ホワイトバランスは他のSIGMAレンズと同じく若干寒色方向に転びます。
コーティング起因ではないか?と推測しています。*1
Art135/1.8の利点はやっぱりAFですね。
今まで以上にチャンスを拾えるようになるのはやっぱりありがたい。
135mmのススメ-1-では
「AFだと精度気になるしエレキ物は壊れるからやだなあ」
という意味を込めて「AFなのが残念」と言ってるくせに
そこそこリーズナブルな価格と正確なAFを味わうとダメです。
人間、楽を知るとロクなことになりません←
撮っていて思ったのはですね、
レンズってストイックにHigh Fidelityをどんどん突き詰めていくと
つまんないものはつまんなく写るなあ、と。
ま、High Fidelity ="高忠実" ですから慈悲が無いって当然なんですけども。
APO SONNARを使っていたときは
何を写してもAPO SONNARらしさというか
料理の達人が最後に塩を一振りするみたいな「何か *2」があって
その魅力に助けてもらっていたところがありますね。
今思えば。
Art135は光学性能を突き詰めた先に目指すところ、というのが全然違う感じ。
写真がつまらないのは、機材の責任ではない。
構想を決めて適切な機材を選択しその現場に足を運び
被写体を選びフレーミングしてシャッター切った撮影者の責任である。
写真が素敵なのは (中略) 撮影者の功績である。
機材そのものは何の関係も無い。
誰もが判っているけど口に出したくない冷徹な現実を無慈悲に突きつけてきますw
個人的にはそういうの好きですw *3
APO SONNAR135/2を精細にニュートラルにしたものがSAMYANG135/2で
それを更にニュートラルに精細にしたらArt135/1.8、という感じ。
レンズとセンサーがどんどん無色透明になって存在感を消していったとき
最後に残るものとガチンコ勝負したい方、オススメします。
良いですよコレ。
p.s.
そのうちニコキャノパナのミラレス版も出るんでしょうね。楽しみですね。
*1:全ての波長で完全無欠な透過率を誇るコーティングはこの世に存在しません。すなわちどんなカッコイイ宣伝をしていても、程度の差はあれど必ず色調の変化は発生します。センサーや肉眼で検知できるかどうかはまた別の話。
*2:APO SONNARに関してはピン面の押しとマイクロコントラストの強さかな
*3:「超Hi-Fiを目指した先に、Lo-Fiの良さを認識してその要素を必要な量だけ意図的に盛り込む」という流れはレコーディング&オーディオ界隈では20~30年くらい前に通っていて、たぶん写真でも同じような道を通るんでしょうね。フィルム市場の縮小が底を打って細々と生き残り続けるのはその一つだと思います。フィルムエフェクトも。