冬🍆だからと言って特に何も使い道が決まらないまま年末になったのですが、そういえばXtransの40MP機が出たよね、ということで年末年始で気になるところを一通り試しました。
- X-H2
- XF18mm F1.4 R LM WR
- XF33mm F1.4 R LM WR
- XF56mm F1.2 R WR
- XF90mm F2 R LM WR
全部新品でもルクスSL 50/1.4 ASPH 一本より安いとか安過ぎでしょ←
使い勝手とかそういうのは取説見て可/不可を判断すれば良し。個人的にベンチ入り/2軍落ちの明確で絶対的なラインがあるので、センサーサイズ関係なくクリアしてればベンチ入り、ダメなら2軍。
なお、アガリはすべてCapture One Pro (以下C1)で現像。Fujifilm Xシステムにはオフィシャルに対応しているので、カメラ内のプロファイルとほぼ同一なアガリを得る事が可能、かつ、もちろんそこから外すことも可能。もちろんC1の方が圧倒的にきめ細かなトーン/コントラスト調整可能。
近年はLeica SL2/SL2-Sをメインで使っているので意外に思われる諸氏もいるかも知れませんが私は渡り鳥ですのでw フジはX-E1の頃から断続的に使っています。技術的に面白いことにチャレンジする会社は応援します。ただし良し悪しは応援する気持ちとは別ですから、良ければ使い続けるし、まだダメだなと思えばさっさと売り飛ばす訳です。
- 初期の頃からトーンレンダリングは良かった。
- AFはイマイチ。特に太陽直射ド逆光ではくるくるぱーになる
- 初期のレンズはクソ硬い(60mmマクロ)か、ヌルい玉が多かった(他社比)
- 16MP時代のXtransといえばポップコーン、ワカメ、ラーメン、悪名高いアウトフォーカスや解像限界付近での画像情報捏造
この辺りを重点的に見ました。
以下独断と偏見
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Pros:
- 一部ちょっとやりすぎなのもあるが、基本的なJPG (カメラ内リアルタイムRAW現像) は流石。特に太陽直射などの極限状況でのハイライト~中間調、そしてシャドウの扱いは見事と言うしかない。プロネガSTD、プロビア、ノスタルジックNeg、この3つだけで十分。現場で背面液晶でアガリを見るだけでテンション上がる。1枚目の自転車の写真とかまさにコレ。ちなハイライトを少し戻した程度で中間調やシャドウはほとんど手をいれていません。40MPは確実にトーンの滑らかさに貢献している気がする。素晴らしい。
- 機械学習を導入したAFは無いよりはあった方が良いレベルではあるが、そこそこ便利。精度はそんなに高くはないので通常のAF-Sと人間の判断で使い分けが必要。まあ被写体認識アルゴなんて今やWEBにいくらでも転がってるし何も特別な事は無いかも。
- Qボタン便利。これあれば何も困らない。
- メカ/電子シャッター併用で露光時間1/180000secまで行ける。もうNDフィルターは過去の遺物。
- 「露出がAFポイントの明暗に連動する/しない」を明示的に設定できるのナイス。どの位置にピントを動かしても露出が変動しないってストレスフリー。
- ファインダー光学系良し。少なくともZ6/7より見やすい。残念ながらSL2程ではないが、かなり頑張ってると思う。
- CFexpressはPCへの読み込み早いので好き(好みの話)
- 40MPなってようやくポップコーンやワカメの呪縛から開放された気がします。単に画素数増やしただけではなくデモザイクのアルゴリズムも変わっているように思いますが詳細は不明。実質実力20MP~25MP程度に見えますが、ここまで高画素化にしてようやくXtransの良さが発揮できたようにも思います。実質25MPを得てようやくトーンが滑らかになり、パッと見の精細感が出るようになり、何よりアガリに品が出てきたように思います。とすると、24MP時代のXtransは実質12MPだし、16MP時代は実質8MPだったと。そりゃ線も太いしトーンの繋がりも雑であったのは(今になって振り返って)納得できる話な気がします。
- これはX-H2だからって話では無いですが、APSCはバッテリーの持ちが良い(SL2比)。一日撮って半分も減らない。までもこれは人によるかな。
- シャッターフィール良し。これもAPSCはシャッターの質量もストロークも小さいから当然と言えば当然ではあります。
Cons: (主にレンズ)
- 太陽直射ド逆光でAFがクルクルパーになるのは相変わらず。コントラストAFであるSL2の方が断然タフで安定している(完全では無いが)。135判と比較するのは酷だとは思いますがね。
- 数十mくらいまではシャキっと写るのに、数百m以上先の遠景になると全く解像しないレンズ(上記4本全て)。人間を撮る用途しか想定していない様に見える。*1 *2 *3 無限遠でWEB表記MTF通りの特性があるとはとてもじゃないけど思えない。ソニーキャノンニコンライカ等の他社は当たり前に無限遠でキレッキレよ。私が撮った作例ですらいくらでもある。他所から優秀なレンズ設計者を引き抜いた方が良いと思うよマジで。
- ということで、せっかく40MPになっているのに無限遠付近の描写がボケボケなせいで風景モンが全滅に近い。近場のブツにピント合わせてスナップして背面液晶の素晴らしいトーンでテンション上がっても、持ち帰って遠景風景をRAWで見た瞬間にそのボンクラ具合に幻滅するといった塩梅。フジ何やってんの?
- XF56の新型、何でジーコ玉にした?他社はもっと重いエレメントでもスパスパ動かしてるやろ。仕事サボるな。
- 上記4本、軸上色収差もっと減らせるはず。ちょっと設計技術が古いよ。
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まあ、こんな印象。
遠景は他社のレンズかGFXを使って ってか?
なにそのダサいエクスキューズ。あり得ん。
正直なとこ、草花の季節までXシステムは塩漬けかな、って気分。せっかくセンサーがAPSCの越えられない壁を一段越えてきたように思うのに実にもったいない。
色々辛口かもしれませんが応援はしてますよ。*4
今年も特に変わりなくマイペースで撮る予定。
Flickrペース落ちなければExplore 100枚目達成できたらいいな、くらいですかね。
(現在86枚)
てことで、今年もよろしくお願いいたします。
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*1:古典(基本)的なレンズ設計では、無限遠で性能を出すと近距離になるにつれ性能が落ちるのは周知だと思います。逆に近距離の性能を重視すると遠距離の性能が落ちます。昔のマクロレンズが遠距離ダメだったのはこれです。このトレードオフを解決するために、フローティング構造や独立した複数のレンズを動かしたりする方式になっているわけです。
*2:各カメラメーカーはレンズのMTF特性をWEBに掲載しています。これは暗黙の了解で無限遠ピント時の特性を乗せるのが通例ですが、あくまで通例であってルールでも何でもありません。しかもピント位置が○○mのときのMTF特性である、と明示的に記載している所って無い様に見受けます。例外はLeica のSLレンズの一部、例えば https://leica-camera.com/ja-JP/photography/lenses/sl/apo-summicron-sl-35mm-f2-asph で、明示的に無限遠と最短距離でのMTFと表記しています。この様に、お金と時間をかけて設計性能を達成している場合はメーカーは当然売り文句にしますし、そうでない場合は何も言いません。つまり何も言わない=言えるほどの事はできていない、という理解が正しい理解です。
*3:そして「一体どの距離のときのMTF特性なのか」明示していないということは、被写体まで10mの時のMTFかもしれないし100m先かもしれない。無限遠かもしれないし最短撮影距離かもしれない。売上に支障をきたすので都合の悪いことはメーカーは絶対に言いません。言わなければ嘘をついたことにはなりませんから。これは絶対的な鉄則ですので忘れないようにしましょう。
*4:メーカーに対して応援するということは、製品を新品で買うということです。それ以外の応援方法はありません。